日本の宇宙開発史を一望できるJAXA展示館は原寸大が基本!

[mks_dropcap style=”letter” size=”42″ bg_color=”#ffffff” txt_color=”#222222″]先[/mks_dropcap] 日、個人的な知り合いの紹介で JAXA(宇宙航空研究開発機構)を他の大勢のブロガーとともに見学する機会をいただきました。トピックは目下開発中の人工衛星、雲エアロゾル放射ミッション「EarthCARE」の見学です。

人工衛星といえば先日の北朝鮮の打ち上げ騒動もあって、もともとは一発の打ち上げが成功するだけでも国威を大いに盛り上げるものでした。実際、打ち上げ能力を有している(いた)国・機関は10個しかありません

しかし今では人工衛星が生活に馴染みすぎて、かえってどうやって開発され、打ち上げられ、維持されるものなのかはわかりづらくなっている傾向にあると思います。衛星データを利用する私達科学者でも、その詳細を知る機会は少ないのが現状です。

というわけで、JAXA展示館の見学とEarthCAREの紹介を前後編で書きたいと思います。

日本の宇宙開発史を目の当たりにできるJAXA展示館

EarthCAREの見学のまえに、JAXAに来た人が自由に見学することができる展示館「スペースドーム」を、宇宙おじさんことJAXA広報の岩本さんの案内でみることができました。

展示館は、サッカー場ほどもある巨大な建物で、おいてある衛星などはなんと実物大が基本です。

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たとえば気象観測で有名な「ひまわり」の展示。われわれの分野では GMS という名前でとても重宝しています。となりにはBS放送ですっかりなじみの通信衛星「ゆり」「さくら」なども展示されています。

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こちらは自動ランデブー・ドッキング技術実験を行った「きく7号」の展示。チェイサー衛星「ひこぼし」とターゲット衛星「おりひめ」からなっています。

衛星の断熱に用いられるこの金色の「サーマルブランケット」と呼ばれるシートは実のところはベルクロでつけてある(宇宙では真空なので風圧などで剥がれる心配がない)とうかがって見学していた一同が「えーっ」と声を上げる一幕もありました。

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案内の岩本さんが「ほらね」とはがしてみせてくださったところ。技術力の高さと、現実的につくってある部分との融合が実に面白い。

震災でも活躍した「だいち」と「きずな」

人工衛星の役割は「宇宙から地球をみること」と「宇宙を介して通信などをおこなうこと」のふたつに大別されます。

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たとえば陸域観測衛星「だいち」(ALOS)は前者「宇宙から地球をみる」衛星ですが、私達の分野では陸域観測のセンサーを積んでいることで知られていたものの、一般の人には馴染みがうすかったと思います。

しかし震災時に緊急に可視・近赤外線放射計で観測を行うことで被害の範囲をいちはやく捉えるなどの成果をあげています。

一見、ヘリコプターを何台も飛ばしたほうがこうした被害状況がわかるようにみえますが、あまりに広範囲な災害だと衛星のほうが一瞬にすべてを均一に把握できるのです。

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また、「宇宙を介して通信などをおこなう」衛星として「きずな」も震災時にはコミュニケーションのライフラインが途切れた地域に対して通信を行うなど実績をあげています。

こうした災害利用も含めたポテンシャルは平時にはなかなか理解してもらえないものなのですが、災害が起こってからでは遅すぎるのでふだんからこの「宇宙からみる」「宇宙を通して通信する」能力の維持(バックアップを含め)がされていることはとても大事なのですね。

水循環をみつめる「しずく」と宇宙ステーション実験棟「きぼう」

私の研究に直接関係のある衛星「しずく」(GCOM-W1)の展示はなかったのですが、小さなパネルはありました。

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衛星も、いつまでも動くわけではありません。去年はアメリカの観測衛星に搭載され、北極の海氷分布を知るための頼みの綱だった日本のセンサー AMSR-E が観測停止となり、現場でも影響がでています。

その後継が「しずく」に搭載された AMSR2 センサーで、すでに初期的なデータで今年の海氷減少を観測船と連携してしらべるなどの成果をあげています。今後こちらのデータを活用してゆくのが楽しみです。

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そしてなんといってもこの展示館の花形は奥にある国際宇宙ステーション実験棟「きぼう」のレプリカです。中に入ることができますので、外からみた大きさと宇宙飛行士が活動する中の手狭なギャップなどもよく分かります。

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宇宙には上も下もないので天井と床をつくる意味はあまりないものの、宇宙飛行士の感覚としては方向を見失うので明確に作ってあるというのは面白い話でした。宇宙で長く活動すればこうした感覚も変わるのかもしれませんね。

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宇宙服から顔をだせるコーナーもあるので、大勢の子供の見学者が横にいるのも気にせず飛びついてしまいました。これは楽しい。

さて、ここまでは前座で、後編では今回見学させていただいた EarthCARE とこの衛星がなにを可能にするかについてです。エアロゾルとは何か? なぜそれを観測しなければいけないか?についてです。

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